Hank's Balanced Salt Solution(HBSS)の調製

本ガイドでは、実験室で使用する所定モル濃度のバッファーの調製方法を説明します。

Hank’s Balanced Salt Solution(HBSS)は、細胞や組織の洗浄・搬送・短期維持時に生理的浸透圧とpHを保つために 広く使われる平衡塩溶液です。細胞生存に必要な水と無機イオンを提供します。

Hank’s Balanced Salt Solution — 組成

名称化学式濃度CAS
塩化ナトリウムNaCl0.8% (w/v)7647‑14‑5
塩化カリウムKCl0.04% (w/v)7447‑40‑7
リン酸二水素カリウムKH₂PO₄0.006% (w/v)7778‑77‑0
炭酸水素ナトリウムNaHCO₃0.035% (w/v)144‑55‑8
グルコースC₆H₁₂O₆0.1% (w/v)50‑99‑7
リン酸二ナトリウムNa₂HPO₄338.12 µM7778‑77‑0
塩化カルシウム(任意)CaCl₂1.26144 mM10035‑04‑8
硫酸マグネシウム(任意)MgSO₄406.5 µM10034‑99‑8
塩化マグネシウム(任意)MgCl₂492.6 µM7786‑30‑3
フェノールレッド(任意)C₁₉H₁₄O₅S0.001% (w/v)143‑74‑8

滅菌と保存

  • 滅菌:0.22 μmろ過で微生物を除去(グルコース含有のためオートクレーブ不可)。
  • 保存:室温(遮光)。

補足と注意点

  • 20 mM HEPES を添加すると HHBS バッファーとして使用できます。
  • 本溶液にはグルコースを含むため、オートクレーブ滅菌は行わないでください。
  • カルシウムイオン由来の沈殿が生じることがあります。沈殿は湯浴で温めて溶解させ、 多量の沈殿が残る場合は溶液を廃棄してください。
  • NaHCO₃ 濃度が低いため、5% CO₂ インキュベーター環境には不向きです。 CO₂ 下では速やかに酸性化します。
  • Mg²⁺ は硫酸マグネシウム単独(0.098 g/L)または 塩化マグネシウムとの併用で供給できます。用途に応じて選択してください。
  • 無水硫酸マグネシウムおよび無水塩化カルシウムは吸湿性が高く秤量誤差が出やすいため、 使用は推奨されません。
  • 無水塩化カルシウムは水と接触すると発熱するため、取り扱いに注意してください。
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